経営者4年生スタート

3年前の1/31に株式会社リクルートを退職しました。
今日が経営者4年生のはじまりです。

経営者になってまる3年経過しましたが、Nadiaができてからはおよそ2年。
料理というドメインに出会うまでは色んな試行錯誤と失敗がありました。

 

創業の地は千駄ヶ谷。
親戚がやっている会社のマンションの一室のコピー機の横。
自宅にあった机をそこに一個置かせてもらってのスタート。
なにせ、固定売上がほとんどなかったので固定で発生する費用はどうしても厳しかったのです。
毎月10万とか払えるわけがない。
当時、「でっかいオフィスを持つって永遠に不可能なんじゃないか」って毎日思うくらい固定費というのは怖かった。
しかし親戚は快くコピー機使用無料、電話無料、家賃無料というこれ以上無い好条件を出してくれた。
今でも彼には感謝していて彼がいなければもっと厳しい条件下で仕事をしていたでしょう。
もし僕の事業が大成功したらビールの一杯でもご馳走しようかと思います。

当時社員は2名でしたが、日中は営業。
夜は戦略を議論していました。
最初に描いていた事業モデルはまったく歯が立たなかった。
というのも、どうやら僕らは「リクルート」という名前があって、その状況で成り立つ事業モデルを無意識で構築してしまっていたらしい。
でも僕らは今は見たことも聞いたこともない会社の名刺を持っていた。
新規受注というのが非常に厳しいモデルだった。
「会って貰えたらいけるのに!」なんて今考えれば非常に稚拙な会話をしていたことも覚えています。

無理矢理でも会って貰える仕組み、もしくは会って貰えなくてもいい仕組み。
そういうのを考えなければいけなかったのに。

 

経営者の悩みは「人」と「金」だと思ってます。
ほとんどそこだと思います。
そして新米若造にも徐々に「金」の悩みが出てくるのです。

毎月25日に定期的にお金が振り込まれないこと、徐々に減っていく残高に恐怖していました。
「貧すれば鈍する」という言葉もあるように、不安感ってこんなにも人のパフォーマンスを下げるんだ・・・と強烈に感じたことを覚えています。
何やっても無理なんじゃないかと思った。
でも時間だけはどんどん経過していくのです。
周りは「起業して偉いね!頑張ってね!」と言ってくれますが、そんなたいしたことやってないのにな・・なんて思ってました。
そうなると負のスパイラルに入っていって、「会社を大きくしたい!」とか「社会貢献!」なんて言えなくなった。
近所の安いラーメン屋の味にもどんどん飽きていったのです。

その頃色んな経営者の先輩方にお会いすることが多くなりました。
皆さんどうやってるんだろう?ってのを理解したくて。
たくさんの方々にお会いしました。
そして諸先輩の言葉がスッと入って来たのを覚えています。

 

「リクルートから飛び出してきて下手なりに自分でやっていること自体に価値がある」
「苦労して血尿3回くらい出てからがスタートです」

 

「あ、こんなに凄い人達でも最初はそうなんだ。自分だけじゃないんだ」と思えたのです。
つまりそれはきちんと努力していれば、このような経営者になれると思えた希望の言葉だったのです。

「かっこつける前に食えるようになろう」
「大きなことを考える前に身の丈に合った商売をしよう」
僕は秀逸な仕組みやテクノロジーなど考えることもできなかったので「飛び込み営業」「コンサルテーション」「低姿勢」の3つに武器を絞って仕事を再開しました。

もともとリクルートでは事業推進、新規事業などを経験し、ボストンコンサルティンググループの皆さんとの2年間の仕事でも相当鍛えていただいたので、お客さんも経営の話は聞いてくれました。
フットワーク軽く飛び込んで、低姿勢でコンサルという正のスパイラルを作り出せたのでどんどん業績は上がっていきました。
初年度の売上も後半の追い上げで終わってみればマルでした。
振り返ってみれば、実は僕は非常に重要なことをやっていました。

 

「やらないことを決める」

 

時間も能力も限られているので良い意味で「身の丈にあったこと」をしっかりやればいいだけだったんです。
雑誌で取り上げられているような若手経営者の素晴らしいアイデアや高いスキルから生み出される仕事は到底できないって思ったのです。
自分にだけある自分の中に光っているものを磨けばいいって気付いたのです。
自分の「得意」を最大限に活かすことが事業の最大パフォーマンスだし、それをサポートしてくれる仲間を見つけることが重要だったのです。

 

僕はその時から人と自分を比べることを止めました。

 

会社でも組織でも一番大事なのは「人」。
「人」はそれぞれカラーが違う。
まったく同じ人が所属している会社や組織なんてない。
それ自体が唯一無二なんです。
そこに自信を持って、地道な事業展開を続けていけばいいのです。

 

そこからしばらく経って僕はOCEAN’S、Nadiaと出会うわけです。
そして今の素晴らしいメンバー達とも。

SONYの盛田さんも井深さんも、どんな偉大な経営者だって最初はビギナーなはず。
たくさんの経験や苦労を重ねてステージアップしているはず。
経営者は考えや志を自身で鍛え上げてステージを上げ続けるのでしょう。

 

旅はまだまだ続く。

株式会社OCEAN’S
葛城 嘉紀